2009.5.17(日)〜19(火)

 かねてから一度は行ってみたいと思っていた新潟県と長野県に跨る秘境・「秋山郷」に、
山菜料理と「熊鍋」を食べに行ってきました。

「北越雪譜」を著した越後・塩沢の鈴木牧之が、文政十一年(1828)に探訪した秋山郷。
その時の記録が「秋山記行」として残っています。





 17日(日):小雨の中、平塚を早朝出発。

「東名」「関越道」を碓氷軽井沢ICで降りる。
軽井沢から万座、志賀高原の「芳ヶ平(日本国道最高地点:2,172m)」はずっとガスって全く景色が見えない。
しかし、こんなに雪が残っているとは思わなかった。

志賀高原を抜け、飯山から117号線で新潟県・津南町に入る。


新潟県中魚沼郡「津南町役場」〜長野県下水内郡栄村小赤沢「民宿・出口屋」まで、カーブの続く山道およそ30km
「津南町役場」標高240m:小赤沢「民宿・出口屋」標高800m。




 「津南町」に入り、早めの昼飯は予定のここ「大平」。豆腐が、うまい。




 山菜のてんぷらがいっぱい。もちろん、タラノメも。




 そしてソバはつなぎが布海苔(ふのり)を使った「へぎそば」
これで三人前だが、家内と二人で食べ出がありました!




 その後、津南町を南下し秋山郷に向かう。 秋成集落から反里口集落を過ぎた辺り。

今は車で入ることが出来るが、鈴木牧之が訪れた200年ほど前は大変な苦労を強いられた。




 中津川沿いに走り、「結東(けっとう)集落」から「見倉集落」への吊り橋。




 吊り橋の中ほどから見ると、新緑が雨に洗われてきれいだ。
川の水が、緑に染まっている。




片手で傘を差し、片手で重いデジカメ一眼を持っているからどこにもつかまれないまま、
パチパチ、シャッターを切って吊り橋を往復する。

吊り橋は歩くたびにユッサユッサ波のように揺れる。
家内は殆ど一歩も動けないままだ。




 「結東集落」を過ぎる。

「秋山記行」を読むと、山の奥の集落の生活があれこれ書かれている。




 「見倉集落」の山の上の方まであがって見る。

対岸の結東集落に石垣田があるが、ここも小規模だが形が整っている。
田植えは、未だだった。




 西の方角の鳥甲(とりかぶと)山方面。




 東の方角は苗場山方面。まだ、雪が残っている。




 前倉橋を渡りいよいよ「小赤沢集落」に入る。
日本の原風景、という趣。

「鳥甲山」と「苗場山」に挟まれた山間地帯で「日本の秘境100選」の一つである。
平家の落人伝説もあり、熊狩りや焼畑を行っていた。

冬季には隔絶されるケースが多く何度も飢饉、飢餓が発生し、時に村全体が全滅した。
近年でも交通が不便で、更に豪雪地帯であり、外部との接触を絶たれることが度々あった。
そのため独自の生活文化を持ち、「民俗学の宝庫」と言われる所以である。




 道路沿いにあった「福原商店」で“とち餅大福”を買う。
トチの実のアクを丹念に抜いた大福。

しかし、もっと存在感がある味かと思ったが、意外に上品な味になっている。
1個150円。




 更に奥に向かい「屋敷集落」。 車で入るのが申し訳ない。




 一軒の民家でお茶請けにヤマウドの煮びたしを頂いた。
いや、まァ、これがうまいのなんの。思わずお代わりを所望してしまった!
以前、飛騨高山で食べたのを思い出した。

ところでこの家で聞いた話だが最近、福島県からお嫁さんが三人、嫁いできたそうだ。
「秋山記行」では、“昔から縁組は嫁も婿も秋山の中でだけで行われ、里からは一切迎えない。
万一、女などが里の者と結ばれた時は親子親類の縁を切った”と、述べられている。




 さて、本日の宿にかう。

こんな山の中(と言っては失礼だが)の道路が“通学路”!
大変だナー。雪深い冬はどうするんだろう?




 民宿「出口屋」さんに到着。2月に予約しておりました。
一旦ここで荷物を降ろし、どうしても入りたかった温泉に向かう。




 ここです、ここ! 小赤沢温泉「楽養館」:日帰り温泉。500円。
どうしてもこの温泉に入りたかったのです。




 全国的にも珍しい、鉄分を多く含んだ赤い湯が特徴で、その濃度は一般療養泉の倍以上。

地元の少年が入っていた。
「ちょっと写真を撮らせて!」

湯はちょっとぬるめ。41度位かな?
ゆっくり、のんびり湯につかる。
かぶり湯、打たせ湯、圧注浴、寝湯もあった。

地元の子供は100円で入れるんだそうだ。
「いいなー、毎日来てるの?」
「いえ、毎日は、来ません。」とのことだった。

気に入りました、この温泉!
そうだ、今度は紅葉の秋に来よう!
今度は新緑ではなく、紅葉を見ながら湯に入ろう!




 温泉から鳥甲山方面。




 ロング・ドライブの疲れを温泉で取ったら、もうビールと晩飯のことしか頭にはない!
それー、民宿に戻るぞー。




 行者ニンニクやアケビの新芽の卵黄和え、自家製コンニャクなど自然の、身体に良いものばかり。




 2月の予約時にお願いしておいた「熊鍋」
イノシシ鍋や鹿刺し、馬肉などはそれこそ何度も食べたが「熊鍋」は初めて。

独特の臭みがあると聞いたことがあるが、まったくそんなことはない。
肉は柔らかくもなければ硬くもないが、「うまい!」と言う味でもない。
しか〜し、汁に良いダシが出てるんだよ、これが。
汁がうまかった。




 山菜のてんぷらはタラノメ始め、いろいろ(名前を忘れた)。




 翌18日(月)、秋山郷出発の朝。

民宿の居間に飾ってあった20年くらい前のものだと言う熊狩りの写真を、“写真”に撮らせて貰いました。

まあ、でかい熊です。

(写真が古いので黄ばんでいました。)




 皆で力を合わせて春の山を下り・・・。




 川に木を渡し、ひっぱり上げる。

この後、集落に到着して「熊の胆」を取り出し、夜は盛大な熊鍋だったのかナー。




 民宿から向かいの山。まだ朝霧が湧いていました。

実際ここに住んでいる人にとっては雪深い冬など大変だろうが、
雪がめったに降らない地方に住んでいる者にとっては“良いところだなー!”と思わず声が出てしまう。

「秋山郷」については、昭和初期、地図測量隊が秋山郷を訪れた際に、
村の古老から「まだ、源氏の世は続いているのか?」と聞かれたと言う有名な逸話があるが、
これは“平家落人伝説”と“秘境”をことさら強調する、部外者の全くの創作話であろう。




  さあ、出発だ。 山を下ります。どんどん下ります。




 空もどんどん晴れてきました。




 新緑の中、下ります。




 麓に着くと、今頃、菜の花!




 間もなく田植えも始まります。

“秘境”の面影が今尚色濃く残る「秋山郷」、次回は秋の紅葉時に必ず参ります。

このあと十日町〜「北陸自動車道」「磐越自動車道」「東北自動車道」を経て、福島県・飯坂温泉に向かいました。


「福島・飯坂温泉」に続く



一言で結構ですので、ご訪問頂いた足跡をお願いします.
掲示板